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2023年6月22日 (木)

情報Desk With コロナ時代:ウィルス性肺炎対策から誤嚥性肺炎対策へ―今こそ歯科界の英知の結集を―③

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3. 歯科界へのエール

 筆者は、2023/03/18、富山市で開催された第52回日本嫌気性菌感染症学会総会・学術集会に参加しました。本学会には、特に感染症・呼吸器疾患に関する斯界大御所の先生方が参加されます。そこで、とても驚く光景を目の当たりにしました。著名な先生方が、メインのシンポジウムで、コロナ対策における口腔・口腔細菌の重要性を口々に説いていらしたのです。日本感染症学会の前理事で厚労省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの館田一博先生(東邦大学医学部微生物学教授)、日本呼吸器学会の誤嚥性肺炎ガイドライン作成座長迎 寛先生(呼吸器疾患研究のメッカ、長崎大学医学部呼吸器内科教授)、本学会の理事長のみならず多くの感染症関連の学会の要職を務められる三鴨廣繫先生(愛知医科大学臨床感染症学講座教授)など、そうそうたるメンバーでした。

 特に、館田先生、迎先生が登壇された際には、高齢者の誤嚥性肺炎が大きな問題となっているCOVID-19の現状を憂い、座長の門田淳一先生(前・大分大学医学部呼吸器・感染症内科学教授・附属病院長)とともに、誤嚥性肺炎をなんとかしなくてはならない、とりわけ、口腔細菌、中でも嫌気性菌、歯周病原菌と肺炎進展との関連研究の重要性と、高齢者施設における口腔ケア介入の大切さを説いていらっしゃていました。さらに、口腔、特に舌や唾液中の細菌や分子から肺炎発症の予想がついたり、その予後が判断できるようにならないだろうか?とも、会場に向かって問いかけられていらっしゃいました。

 講演のほとんどが口腔に関する話だったことに、大変な驚きと感銘を受けました。しかし、講演途中、すべてがまさに歯科領域の話であること気が付き、背筋がぞっとする感覚を覚えると同時に、身の引き締まる思いがしました。帰京後、いくつかの大学、また、開業医の先生方とこの件について話をしてみましたが、皆口をそろえて「知らんかった。そうだったんだて……」とびっくりしていました。

 医科の先生方、とりもなおさずコロナで疲弊した社会が今、歯科界にエールを送っているのです。誤嚥性肺炎は、入院中の患者にさえ頻発していています。自宅療養中の患者ではなおさら注意が必要です。また、発症を繰り返すのも特徴です。歯科医療従事者の介入なくして、根本の問題解決は不可能です。

 最近、口腔の不衛生や歯周病の悪化とCOVID-19 の重症化・死亡率上昇との関連、およびCOVID-19 患者の肺や痰からの口腔細菌検出の報告も積み重なりつつある。口腔健康管理や歯周治療が、肺炎の発症や重症化の予防対策に有効であることが提唱されてから、すでにかなりの年月が経過しています。口腔健康管理が急性期肺炎患者の在院日数を短縮することも報告されました。

 コロナ禍の最中および with コロナ時代の誤嚥性肺炎対策を通じて、歯科医療は歯だけを治療する、という誤解されたイメージが定着してきた過去から、今まさにコロナの克服にも重要であること、ならびに国民の健康を支えるためになくてはならないものとの理解を得る機会となっているのではないか。

 現在の第9波を含め、withコロナはこれからも続きます。制度や予算の問題等もあるだろう。私たち歯科医療従事者は、国民や医療機関に口腔健康管理の重要性を改めて説いていく必要があり、またそのためのエビデンスを提示していく努力を続ける必要がある、と改めて思いました。

 

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