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2023年8月22日 (火)

人間と科学 第349回 歴史散歩 医学の眼 リーダーたちが病気になった時(4) ③

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 吉宗は将軍職を長男の 9 代将軍家重に譲ったが、家重は言語不明瞭な障害者で、颯爽としない。吉宗は大御所として貢献するつもりでいたが、自身が闘病の日々を送ることになってしまった。すると、聡明だと言われていた次男の田安宗武を擁立する動きが起こり、これに家重が激怒して政情不安となったと、オランダ商館長の聞書に残されている。

 幸い、徳川幕府の官僚組織はきちんと機能していた上に、吉宗が享保の改革で登用した有能な役人たちがいて、高覧させることなく難局を乗り越えた。田安への厳しい処分は病身の大御所を悲しませてしまうと、慎重な対応になった。

 かくして徳川の天下泰平の世の中は続き、鎌倉殿の時代や徳川初期のような血生臭い事態にならなかった。なお、田安宗武の七男が白川藩に養子に出されて松平定信となり、後に幕政を司り、寛政の改革を行うことになる。

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