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2023年8月23日 (水)

人間と科学 第349回 歴史散歩 医学の眼 リーダーたちが病気になった時(4) ④

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 失語症が世界史的事件となったのは、ロシア革命後のソビエト連邦である。革命家レーニンは 1917 年 ロシア革命を鋭い舌鋒を持って指導し、新生ソビエト連邦のトップとなった。しかし、52 歳目前の 1922年3月頃から、 1 週間に 2 度くらいの頻度で一時的な意識消失や右半身の発作を起こすようになった。

 また、自分の考えていることを口に出せなくなったりしたが、20分から 2時間で回復、症状は残らなっかった。脳梗塞の予兆の一過性脳虚血発作(TIA)

だ。

医師団は政務からの休養を進言した。しかし、彼は、「革命家に休息はない」とアクティブに活動を続けた。12 月には1日2度の発作があったが、休まず、ついには本格的な脳梗塞となった。しかし、言語機能は保たれており、自分で後継者と指名して、共産党ナンバー 2 としたスターリンへの批判論文を発表した。さらに、1923年3月には右片麻痺と失語の再発作が起こり、言葉の理解も発語もできなかった。

 やがて妻や秘書が音読する新聞をいくらか理解できるほどに回復したが、考えの口述筆記はできなかった。麻痺は杖歩行まで回復したが、言語機能は回復せず、いくつかの単語を繰り返すだけであった。革命を意味する「リヴォリューション」を「リヴ・リヴ・リヴ・ヴォ・ヴォ・ヴォ・リュー……」と発音したと記録されている。

 そして、1年後に 56 歳で亡くなった。

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