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2023年9月 5日 (火)

Science 歯科医療の未来を切り拓くエピジェネティクス ⑤

続き:

2) 細胞の多様性を規定するエピジェネティクス

 歯周組織は形態も全く異なる細胞から構成されており、それぞれの細胞は特異的な遺伝子を発現することで細胞特性を発揮する。個々の細胞が持つゲノム DNA の塩基配列は、同一個体であればすべて同じ、であるが、DNA メチル化などのエピジェネティクス情報(エピゲノム)が、どの細胞でどのどの遺伝子スイッチをオンにするかオフにするかの組み合わせを決定し、細胞多様性を生み出す。

 例えば、エナメル芽細胞ではアメロゲニンや、エナメリンといったエナメル質にに重要な遺伝子がオンになり骨の遺伝子がオフになっている。

 逆に、骨芽細胞ではエナメル質の遺伝子はオフになっている一方で、オステオカルシンや Runx2 (Runt-related  transcription  factor2 ) といった骨形成に重要な遺伝子のスイッチがオンになりタンパク質を発現することで骨形成を促進する。そして、このエピジェネティクス情報は細胞分裂をしても継承されていくため、 DNA メチル化を解除しない限り、エナメル芽細胞が骨芽細胞へと転換し歯槽骨の再生に寄与することはないことになる。

 一卵性双生児は全く同じゲノム DNA を有するため、遺伝的には全く同一の個体である。しかし、年齢を重ねるにしたがって一卵性双生児同士でも個性に違いが出るようになり、疾患に対する感受性も異なってくる。これは、一卵性双生児間で異なる環境要因がエピジェネティクスに差異をもたらすからである。

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