日記・コラム・つぶやき

2022年10月 5日 (水)

神奈川県の歯科医師の体験記 ⑥

続き:

     4. I 歯科医院(神奈川)

Profile

   横浜市内の2F.に2015年開業。診療ユニット4台で、スタッフは歯科衛生士2名。歯科技工士1名。1日の患者数25人程。通常の歯科診療を主体。

院長の自己紹介

  1979年生まれ、歯科大学を卒業し某大学口腔外科の大学院卒業。その後、大学病院勤務を経て開業しました。

スタッフ紹介

  2名共に2016年に歯科衛生士学校を卒業、同年より当医院に勤務。

Q. 歯科医師取得の理由

 医療系の大学へのしんがくを計画していた。

Q. HIV 陽性者の最初の歯科治療は、いつ頃、状況、きっかけは?

 大学院時代に感染症対応の担当となったのが始まり。

Q. HIV 陽性者の感想は

 一言で普通

Q. 自院にてその受入れは、いつ頃から

 開業時から、HIV・感染症の患者対応は普通のこと。

Q. HIV 陽性者の受入れで支障、問題、対応は?

 支障はなし、新人スタッフが入職の時には全員参加の感染管理のセミナーを行う。さらに年1回は、感染症のセミナーも実行。また、肝炎ワクチン接種や毎年の健康診断で抗体価も調べ安心を提供する。

Q. 他の患者さんは知っているか?

 知らないと思う。知らせる事項ではないと思っている。

Q. HIV 陽性者の受入れて良かったこと、スタッフの方でも、

 良い悪いということも無し、他の患者さんと同じ扱いです。

Q. HIV 陽性者の初診の経緯は

 患者からの紹介。

Q. 現在の診療頻度はどうですか。

 5年で1~2名程度

Q. 経皮的暴露時の予防薬の準備についての対応は?経皮的暴露があったときの対応は?

 他の経皮的暴露時と同じフローチャートになります。患者と共に内科受診し対応してもらう。

Q. HIV 陽性者の診療拒否あるいは特別視している歯科医療従事者へ伝えたいことご意見など

 管理者であれば、スタッフ教育と感染管理システムの構築が必要、勤務医であれば感染管理の知識である。

    

2022年10月 4日 (火)

神奈川県の歯科医師の体験記 ⑤

続き:

     3. N 歯科医院(神奈川)

Profile

      1987年に開業。歯科医師は3名。(私・妻・娘)、スタッフは、DH3 名、受付事務1名。通常の歯科診療を主体である。

院長の自己紹介

 1956年生まれ、東京都出身。K歯科大学卒後、開業医勤務の傍ら、T医科大学微生物講座にて研究従事、1990年医学博士学位を受領。1987 年現在の歯科医院を開業。2004年日本障害者歯科学会認定医取得、2016年日本障害者歯科学会指導医取得、2019年産業歯科医取得。

Q. 歯科医師になった理由は

 父は産婦人科医ですが、父とは宿泊を伴う旅行はなく、絶対医師になりたくなかった。自分はモノ作りは好きで器用なほうです。両親から手先が器用だから歯科医師になれば?と言われ、志すようになった。

Q. HIV 陽性者の最初の歯科治療は、いつ頃、状況、きっかけ?

 まだ、HIV陽性者と認識したことはない。今般、歯科医師会の職務分掌でHIV歯科診療ネットワークの運営に関わった。HIVの歯科診療は決して特殊でなく、B型肝炎やC型肝炎患者と同様の対応、すなわち「標準予防策」で十分に対応できると思い、ネットワークに参加。

Q. HIV……最初の感想は?

 先程のように、隠れHIV 陽性者はしたかもしれませんが、申告を受けての診療はまだなし。

Q. 診療受入れにあたっての支障、問題は、それの対応は、今でも続けている配慮は?

 他の歯科医院の事例だが、主治医からは歯科診療を受ける際、歯科は「標準予防策」ができているので、既往歴でHIV 感染について言う必要は無いと言われたそうです。医科からの情報提供(HIV 感染者の血中ウイルス量、服薬内容)が無いとこちら側は不安だ。HIV 感染を理由に診療を拒否されることはHIV 陽性者にとってストレスがかかるから、歯科診療ネットワークを通じて医科と連携、歯科診療を行うことがお互いのためになる。

Q. HIVを受入れしているのを他の患者さんは知っている?

 特別開示しない。感染対策が整っており、患者さんのプライバシー保護のためにも公表することは敢えて行ってない。

Q. HIV 陽性者の診療受入れをして良かったこと、スタッフの方の話からでもよいが、

 院内全員でHIVに拘わらず、B型肝炎、COVID 19 の感染対策について共通認識を持つことだ出来るようになった。

Q. 経皮的暴露時の予防薬の準備についての対応は?経皮的暴露があったときの対応は?

 針刺し事故が起った場合は、拠点病院に連絡すると対応できるシステムになっている。

Q. HIV 陽性者の診療拒否あるいは特別視している歯科医療従事者へ伝えたいこと、ご意見など

 針刺し事故時の感染率は0.3%で、B型肝炎(30%)やC型肝炎(3%)と比較して低い。2017年以降は U=U (Undetectable=Untransmittable)との考えが世界標準となっている。又、HIV感染者の血中ウイルス量が 200copies/ml未満であれば「針刺し事故」があっても「感染しない」との考えを理解する事だ。

   抗レトロウイルス療法ににより受けているHIV 患者からは(性行為では)感染しないということ。

2022年10月 3日 (月)

神奈川県の歯科医師の体験記 ④

続き:

Q. HIV 陽性者の受入れをしていることを、他の患者さんは知っている?

 公表しているわけでないので、知らない。

Q. 診療受入れして良かったこと、スタッフの話でも

 診療拒否に遭い、遭遇先がない陽性者の従事できること。また陽性者が特別な人でなくステレオタイプで物事を判断しないことの大切なことを知った。MSM はその方の個性(生活)の一部で全人格ではない、HIV に関しては病気を診て人を見ないケースが多い・

Q. 初診の経緯は?

 すべて神奈川県歯科医師会HIV歯科診療ネットワークからの紹介、あるいはエイズ診療拠点病院医師からの紹介。それ以外のルートで来院、感染を申告された方はいない。

Q. 現在の HIV 陽性者の頻度はどのくらいですか。

 1日 1~2 人、週に 4~5 人

Q. 経皮的暴露時の予防薬の準備についての対応は?また、経皮的暴露あったときの対応は?

 神奈川県歯科医師会歯科診療ネットワークの指示で、経皮的暴露時は拠点病院に連絡、そして、予防薬投与を受けるつもりでいます。現在、その実績なし

Q. HIV 陽性者の診療を拒否あるいは特別視している歯科従事者へ伝えたいこと、ご意見など

 新型コロナウイルス感染症の拡大を経験している今、標準予防策への理解は否応なしに向上。血液、体液を介した感染対策で十分対応できるHIV 陽性者の歯科治療はそれぞれの歯科医院の感染対策で十分。抗HIV 薬の進歩により死の病から単なる慢性疾患になった HIV 陽性者の口腔健康管理の必要性は、生活習慣病管理とともに QOL 向上にとって欠かせないものとなってきています。またHIV 陽性者の高齢化に伴い訪問診療や介護福祉施設での対応も求められることも想定される。医科や多職種の方々と十分に連携を取り歯科としてできることに対応する必要があります。

 感染を自覚していない患者さんもいますし、またU=U (Undetect-able=Untransmittable:ウイルスが治療により検出できない場合、感染リスクのないこと)が提唱されている現在、あえて申告せずに HIV 陽性者が受診する機会も増えるかもしれません。万が一、後から感染を知ることがあっても患者さんを責めることなく(今の日本では申告は極めて勇気のいることのはずです)、その時点で医科と連絡を取り自施設で対応できる処置を実施していただきたいと思います。

2022年10月 2日 (日)

神奈川県の歯科医師の体験記 ③

続き:

     2. KS 歯科医院(神奈川)

Profile

        横浜の下町で 1991年に開業。診療ユニット2 台、スタッフは私を含め 3 名。1日患者数 20人程。通常の歯科治療をする。

 院長の自己紹介

  1954年生まれ、横浜出身。T 歯科大学卒、すぐに Y市立大学医学部しか口腔外科講座入局。その後、関連病院で診療従事し、1991年に現在の歯科医院を開業。

 スタッフ紹介

  スタッフは家内(看護師)と非常勤歯科衛生士 1名。

Q. 歯科医師になった理由は

 医学部受験に失敗し、父(歯科医師)勧めにより歯学部受験し歯科医師になった。合格したので気が抜けて医学部受験をやめた。

Q. HIV 陽性者の最初の歯科治療は、いつ頃、状況、きっかけ?

 その人の治療経験したのは、1996年。他県から神奈川県に転居された悦雄病患者で、神奈川県立こども医療センター池田正一先生を介しての紹介。

Q. 最初の診療感想は

 HIV 陽性のことよりも血友病の管理に専念していた記憶がある。

Q. 自院にてHIV 陽性者の受入れは、いつ頃、きっかけ、経緯は?

 それは、横浜開催の第10回国際エイズ開業。同会議に合わせて神奈川県歯科医師会が研修会開催し、参加してから関心を持つようになった。それに自分の歯科医院の近くに風俗店街があり、当時はアジアから働きにきていた人たちを診療する機会があった。今振り返れば、明らかにステレオタイプの見方でしたが、池田先生にエイズの感染症対策について相談した際に B型肝炎と同じで十分に対応できると教えてくださいました。病院勤務医時代は肝炎患者の治療に抵抗はなかったのでこの陽性者の治療には抵抗はなかった。

Q. HIV 陽性者の診療受入れに支障、問題は、また、対応は、今でも続けている配慮は?

 今ではこの感染症の早期発見と早期治療が常識となっているが、当院で受入れ始めてしばらくは、CD4を基準にしたガイドラインも変更がたびたびあり、HIV治療開始時期も施設によりまちまちで、ウイルス量が10万コピーでも CD4が下がっていないので抗 HIV 薬の投与は開始されていないケースもある。

 当院に来院する HIV 陽性者はすべて東京や神奈川県の拠点病院からの紹介でしたから医科の先生と連携を取り、診療を進め、どうしても対応できない口腔外科処置は神奈川県のHIV診療ネットワークに登録している病院歯科に依頼している。

 また今では見ることがほとんどない HIV 関連の口腔粘膜疾患も診ることがあり、医科にその情報をフィードバックしたこともあった。

 先ほど 1 例目の患者さんの話だったが、2例目の方は HIV 治療を拒否された方でCD4が一桁の方。口内炎で食事ができないと医科から tel. 対応したのですが重度の壊死性潰瘍性歯周炎で、治療経験もなく、神奈川県のネットワークの立ち上げに尽力された先生に連絡、対応したことがある。ネットワークを通して自院で対応できない症例はネットワークに属している病院歯科や経験豊富な先生とつながることもできるので有意義です。

       つづく。

 

2022年10月 1日 (土)

神奈川県の歯科医師の体験記 ②

続き:

Q. HIV 陽性者の診療受入れにあたって、スタッフの感想等があれば教えてください。

 HIV 陽性の患者さんでも、スタンダードプリコーションのなかで対応し、治療ができます、むしろウイルス性肝炎などの感染症の患者さんや、新型コロナウイルス対策の方が大変だと思います。

Q. HIV 陽性者の受け入れをしていることを、他の患者さんは知っていますか?

 H.P を含めて、わざわざ連絡してませんが、常連だけでなく、患者さんは知っているようです。感染対策がきちんとできていることと、HIV(ウイルス性肝炎や他の感染症と比べて心配ないこと)について話しているので、信頼していると思う。

Q, 良かったこと、スタッフからの声でも良い

 感染症対策に関してのスキルと自信があることと思える。余程、新型コロナウイルスのほうが、厄介だ。

Q. HIV 陽性者の初診はどんな経緯か

 市内のエイズ診療拠点病院の専門医からの診療情報提供書によるものです。

Q. 現在の HIV 陽性者頻度は?

 月 1~2 回

Q. 経皮的暴露時の予防薬の準備について、対応は、経皮的暴露時の対応は?

 予防薬は置いてありません。今後検討するが、隣りの内科で対応しているから、必要性を感じない。

Q. HIV 陽性者の診療拒否あるいは特別視している歯科医療従事者へ伝えたいこと、ご意見など

 特別視し、診療を拒否するのはスタッフを含めて智歯がない不勉強のせいである。ウイルス性肝炎、結核、新型コロナ等に比べれば、はるかに怖がる必要などなく、スタンダードプリコーションの徹底して、スタッフにもその対応を指導、理解してもらえればいいだけです。

 地域住民には、どんな患者さんでも、診てもらえるという安心感を与えることにも、繋がっているように思います。

2022年9月29日 (木)

神奈川県の歯科医師の体験記 ①

続き:

     1. A 歯科医師(神奈川)

Profile

   横浜の西部に位置し、東名高速、保土ヶ谷バイパス、首都高速などを利用でき、みなとみらい地区や横浜駅まで電車、車で 15分くらいの交通の利便性の高い地域にあります。しかしながら、高齢者比率が市内第 2 位の地域でもあり、昼間は老人ばかりが歩いているようなところです。古い街という理由だけではなく、大病院が 30分以内に 8つもあり、医療体制が充実し都内からのアクセスも良く、高齢者の流入人口も多いためです。ここは、ビル 1 F.に内科と並列している。近年、患者さんも高齢化し、ニーズに沿って訪問歯科もしている。インプラント、歯周治療も行っていますが、予防と一般歯科治療が、同割合です。歯科衛生士 2人、歯科助手 2人で、一日 20人弱の患者さんを診ている。

自己紹介

   1959 年生まれ。東日本大震災津波で有名になった宮城県石巻市出身。H 医療大学歯学部卒後、横浜駅東口と伊勢佐木町の開業医に勤務した。卒後 5年、横浜市旭区に、現在の歯科医院を開業。歯科医師会の役員、歯科衛生士学校の講師や助手学校の講師を経験、2校の学校歯科医も。所属学会は、臨床歯周病学会、額咬合学会、日本嚥下障害リハビリテーション学会、障害者歯科学会、日本スポーツ歯科学会、日本嚥下医学会会員等でです。

スタッフ紹介

   高校を卒業してから、10年間の歯科助手経験を経て、当院に勤めながら、歯科衛生士の資格を取ったベテラン衛生士(勤続年数20年超)、自分が講師をしていた衛生士学校時代にアルバイトにきていた教え子(勤続年数8年)、受付・助手は、教え子の母親で勤続年数15年、そして、もう1人、結婚した長女が手伝いに来てくれています。昼飯をスタッフが作るので、”おなじ釜の飯”を皆で食べている、家族同様のスタッフです。

Q. 歯科医になった理由は?

 父親が転勤族のサラリーマンで、家族は苦労したので、医療関係なら自分でできるやりがいのある仕事と考えた、物を作ることや描くこと、何より、人が好きであることがこの道を選んだきっかけ。

Q. 最初の歯科治療は、いつ頃 その状況 きっかけ

 HIV 陽性者は 2 年前より、横浜市立市民病院の感染症科からの紹介。もともと HIV 診療の受入れ医療機関として登録していた。診療の受入れの可否を問われたので、受けただけ。それまで、むしろ、そういう打診がなかったので、診ていなかったという感じ。

Q. その最初の治療しての感想は?

 不安はあった。わかっていても、正直なところ抜歯などの観血的処置等があった場合はどうしよう、断ろうかと思った。しかし、それ以外の処置なら、メンテナンスを含め、普通の治療ができると思っていた。普通の患者さんと同じです。

Q. 支障をきたす、問題は、また、それの対応、今でも続けている配慮は?

 あえて支障と言えば、その患者さんのために時間を多めに取ったり、できるだけ他の患者さんとバッティングしないこと、診療中の会話や全般通じて HIV に関する言葉やプライベートな部分には、できるだけ触れないようにし、患者さんご本人にも不快に思われないように配慮したことです。ましてや他の患者さんには、聞かれたくないので、診療に関することだけを丁寧にお話していたと思います・特別扱いはしていないけれど、特別扱いされていると感じられないような配慮にスタッフとともに気を配りました。HIV の知識がない他の患者さんは、誤解から怖がることがあるかもしれないので、他の患者さんのみえるときには、特に注意を払いました。診療については、もともと感染対策を徹底して普通の診療をしていたので、問題となることはありません。

2022年9月28日 (水)

HIV 陽性者を歯科医師が診るということ ⑫

続き:

8. N 歯科医院(東京)

Profile

      都内のビルの4F.に1998年に開業。診療ユニットは4台、スタッフは現在4名。通常の歯科診療を主体で、訪問歯科にも対応しています。現在、後継者となる歯科医師を募集しています。

自己紹介

  歯科大学を卒業した後、大学院に進み軟質裏装材の研究をした。その後、大学病院と都内の病院に12年半勤務してから現在の歯科医院を開業。

スタッフの紹介

  歯科衛生士1名、歯科助手1名と非常勤スタッフ1名(日によって職種が異なる)です。

Q. 歯科医師になった理由は

 どの分野で有れスペシャリストになりたかった。

Q. HIV 陽性者の最初の歯科治療は、いつ頃・状況は・きっかけは

 1995年頃、勤務先の内科医から依頼が最初、当時の病院歯科は患者が多く、一人にかける診療時間も少なく、感染根管処置を手掛けてもなかなか治りませんでした。

Q. HIV 陽性者の最初の歯科治療の感想として

 歯科衛生士の感染対策が厳しく、治療機器や材料を制限され、治療がなかなか思うように進まず、患者さんに申し訳なく思っていた。

Q. 自院にて HIV 陽性者の受入れは、いつ頃からその経緯は

 病院で診ていた患者さんを開業してからも継続していたので、診療時間を十分かけることができ、また、感染対策も必要最低限にしたことで、病院では治せなかった感染根管を治すことができた。その歯は今でも機能している。開業後2~3年はその方のみでした。

Q. 診療受入れにあたって師匠、問題は? また、その対応は如何

 支障も問題もなし。配慮していることはプライバシーを尊重し特別扱いをしない。通常はスタンダードプリコーションの下、他の患者さんと区別することなく診療する・ただ、血中ウイルス量が多い患者の時はより厳しい感染対策を施したり治療を制限したりしてる。一度まだ HIV 治療を開始していない患者を紹介されたことがあり。血中ウイルス量が 91 万コピー/ml ということで、その時は応急処置のみにさせていただき、HIV 治療が進んだら来てくださいとお願いをした。2か月後にいらしたときは血中ウイルス量も 20コピー/ml ということで、ちりょうさせていただきました。

Q. HIV 陽性者受け入れを、他の患者さんは知っていますか?

 基本的には知らないとおもう。わざわざ開示することでもない。

Q. HIV 陽性者の受入れは、良かった?スタッフの方からどんなお話

 患者さんが増え、収入に繋がったことです。

Q. 患者さんの初診はどんな経緯か?

 都内のエイズ専門医からの診療情報提供書による紹介が殆どです。最近紹介されるケースは血中ウイルス量が検出限界以下のケースばかりです。

Q. 現在の HIV 陽性者の頻度はおよそどのくらい?

 週に 15人。土曜日は平日より多い。

Q. 経皮的暴露時の予防薬の準備について対応は?また、経皮的暴露があったときの対応は?

 予防薬の準備はしていない。スタッフがこれまで経皮的暴露した経験はありません。もし、あったとしてもほとんどの陽性者のウイルス量が検出限界以下のことから、心配していmせん。もし暴露したら、一応、労災保険を利用して近隣の専門医療機関に問い合わせて対応すると思う。

Q. HIV 陽性者の診療を拒否あるいは特別視している歯科医療従事者伝えたいこと、ご意見など

 HIV 感染症の知識がなければすべきでないと思います。ただ、HIV 感染症に限ることではなく、別の感染症や疾患についても同じではないでっしょうか。訪問診療での在宅患者さんの状態の理解に比べたら、HIV 感染症の理解はやさしいものだと思います。臨床実習に来るえいせいしがっこうせいにも実習前に HIV 感染症の説明をしますが、李愛してもらえているようです。

 

2022年9月27日 (火)

HIV 陽性者を歯科医師が診るということ ⑪

続き:

 「7. S 歯科医院(東京)」の後半。

Q. HIV 陽性者の診療受入れにあたって師匠、問題はあった? 対応は?

 支障、問題はなし。診療室が個室でないため、プライバシーを守るために配慮が必要でした。それで、診療前に患者が持参した診療情報提供書をお互いに確認して、診療室内での HIV に関する医療面接は避けるようにしました。

Q. HIV 陽性者の診療受入れで、スタッフの感想等があれば教えてください。

 スタッフ:院長先生から、どの患者さんに対しても感染症対応は必要なのでHIV 陽性者の患者さんといっても特別なことはないと説明を受けています。針刺し事故の対応も聞いているので心配ない。

Q. UIV 陽性者の受入れしていることを、他の患者さんは知っている?

 当院受付には東京都から配布されている「HIV 陽性者受入れ医療機関プレート」を掲示、H・Pにも受入れ案内を載せている。

Q. 診療受入れをして良かったこと、スタッフの方の話題でも結構です。

 HIV の歯科治療の受入れは、自治体からの要請で受け身的だった、受入れに伴い知識の必要性から講習会などに参加するようになった。それによって病気、特に感染症といっても差別するものでないことが学べるのです。また、自身の理念としている「いつでも、どこでも、だれでも歯科治療を必要な人に機会を与えること」を実戦できる。

 スタッフは進んで研修会、講習会などで消毒、滅菌を学習し、HIV 陽性者を差別することなく診療体制が取れるようになった。

Q. HIV 陽性者の初診はどんな経緯か。

 都内のエイズ診療拠点病院の専門医師からの診療情報提供書による紹介、または、通常予約により初診、問診にて HIV 感染症の治療を把握して対応する。

Q. HIV 患者さんの頻度は?

 1 日 0~2人 週に 0~4人。

Q. 経皮的暴露時の予防薬の準備についての対応は 経皮的暴露があったときの対応?

 治療の実施に当たり、事前に予防服薬についてスタッフに説明している。当院において過去、私自身を含め複数のスタッフが経皮的暴露を経験している。私自身の時の暴露はゲイツドリルによるもので擦過傷でした。CD4 値や血中ウイルス量を参考にして予防服薬はしませんでした。

 スタッフが過剰に心配してしまった時には、拠点病院に準備されている予防薬の使用について担当医師と相談することもあったが、このスタッフも予防薬は服用しませんでした。

Q. HIV 陽性者の診療を拒否あるいは特別視している歯科従事者へ伝えたいこと、ご意見など

 歯科医療従事者は、常に困難と思われる有病者の治療を行っています。患者の全身状態の把握を怠れば重篤な事態を招きます。そのため治療を安全に行う努力、困難だと思われる有病者の治療を安全に行う研修をしているはずです。HIV だけを特別視して治療にあたらないというのは医療従事者として倫理的にも残念に思います。多くの人が HIV については、それが社会に知られるようになった初期の 35 年以上前のイメージのままフリーズしているが、歯科治療はスタンダードプリコーションで十分に可能だ。HIV 感染リスクは B 型肝炎の 1/100 と言われている。もし患者から HIV 陽性者と申告されたなら診て、経験することが大事なことです。

 

2022年9月26日 (月)

HIV 陽性者を歯科医師が診るということ ⑩

続き:

     7. S 歯科医院(東京)

Profile

  東京多摩地区京王沿線の駅前にて昭和60年にて開業。平成22年に現在地に移転し、ビル !F. にてユニット 2台で、木、日休診とし火、金 8時迄診療しています。スタッフは歯科衛生士を含め 6名がパートで勤務。現在はコロナ感染予防対策もあり患者数は 1日15人~20人程。通常の歯科診療を行っていますが障害者歯科や訪問歯科診療も実施している。

院長の自己紹介

  昭和24年生まれ、滋賀県出身、昭和52年K歯科大学卒、8年間K大学保存修復講座にて研修。その後、現在の歯科医院を開業。

スタッフの紹介

  歯科衛生士を含む助手4名、他院で勤務経験あり。受付事務2名。

Q. 歯科医師になった理由

 自分の歯が痛かったという経験から、この仕事は歯の痛み、食事の回復につながり、人のために役立つ仕事と思った。自分が生まれ育った地区には歯科医院が少ないため地域住民のためになる職業と感じた。

Q. HIV 陽性者の最初の歯科診療はいつ頃、状況は、きっかけとなったのは

 平成11年で、東京都エイズ歯科診療紹介事業に当院が登録したことによって東京都福祉保健局からの紹介。当時、エイズ歯科診療紹介事業は施行時でしたが、緊急を要するとして紹介されたので受入れた。

Q. HIV 陽性者の最初の診療の感想は?

 その時の治療は歯周炎の急性症状の処置で、勿論、スタンダードプリコーションについて少し理解していたが、まだまだ HIV 陽性者の知識や情報も少なかったので緊張し、処置には出血も伴うので掻把や歯石除去に手が震えました。血が体に付着したら、すぐ感染してしまうとさえ感じた。

             つづく。

 

2022年9月25日 (日)

HIV 陽性者を歯科医師が診るということ ⑨

続き:

「6. S歯科クリニック(東京)」の続編です。

Q. HIV 陽性者の診療受入れあたっての支障、問題はあった? また、それへの対応は? 今でも続けている配慮は?

 陽性者の診療拒否の根底は、「エイズいかかったら死の病だから怖い」という事でしょう。エイズに対する偏見もあると思う。関り合いたくない…が本音かな?

 歯科における感染対策は、コロナ禍でも歯科医院での大規模なクラスター発生はない、という事で評価されている。コロナは飛沫感染、HIV は血液媒介感染、と感染経路が全く違い、HIV の方がはるかに感染力は弱いですよね。そういう理解に基づいて、グローブ、マスク、ゴーグルをしていればまず感染しない。そんな基本形から、感染対策を考えて行くといろいろな診療場面で、疑問を生じる訳。 ユニットおラッピング?そんなことやってる時間もないし人手もない。患者の目の前でしっかり清拭した方がよっぽど楽で、患者受けもいいでしょう。清拭はスタッフの仕事で、スタッフには「陽性者の治療のすぐ後で自分が治療を受けるとした時に、安心できるように清拭するにはどこをどのようにしたら安心できるかかんがえて!」と言っている。

 もう一つ大きな問題が、「風評被害」の問題です。THDN では、メンバーの診療所に来院されている患者さんにアンケート調査を行ったことが有りまsが、患者さんには予想していたよりはるかに好意的に捉えていた。

 エイズ患者さんを歯科医療している事は素晴らしい、感染対策をしっかりされているので安心して通院します、という意見がほとんどだった。すべての患者が理解しているとはおもいませんが、理解できない人は来院されなくても良いと思っている。

Q. HIV 陽性者の診療受入れにたり、スタッフの感想等は

 開業当初の歯科衛生士とのやり取りの記憶あらですが、もし万が一、スタッフに感染させたらいけないと思い、診療時の介助は当時診療を手伝ってくれいた私の家内(薬剤師)でした。スケーリングも歯科衛生士にさせませんでした。ある日、急患等で忙しくしていた時、私が陽性者のスケーリングをしようとしていたら、その歯科衛生士から「「スケーリングだったら私がやりましょうか?」との申し出があった。「感染者だよ!?」「分かっています、大丈夫です」と言ってくれました。涙でしたね。あとから聞いたら、「先生のやっている事を見て、先生からもエイズに関して話を聞いていたし、それに忙しそうだし、大丈夫だと思ったので」と言っていた。

 私は大感激!素晴らしい歯科衛生士に出会えたことを神に感謝!。その後は、採用面接には「エイズ患者さんも来るけど、それでもいい?」って感じで納得してくれる人を採用しているので、スタッフとの間で問題になった事は無い。HIV 感染症について教え、淡々と健常者と変わららずに治療する姿を見せていく事が大切です。

Q. HIV 陽性者の受入れをしていることを、他の患者は知っていますか?

 当院の HP には「受入れを記載している。毎日新聞で私が取り上げられた記事を見て、知っている患者さんもいますよ。このコロナ禍でも「先生のところはしっかり対策しているから、コロナも大丈夫だよね」って言う患者さんも多く、患者の減少は初め頃だけで、ほとんどありません。

 風評被害についても、どうしても嫌だったら来なくていい、私を理解して信頼関係が築ける患者さんを大切にしたいですね。

Q. HIV 陽性者の診療受入れして良いことは?

 陽性者からの心からの「ありがとう」という言葉と陽性者のスケーリングを率先してやってくれる歯科衛生士と仕事ができる喜び、世知辛い話ですが、普通に患者増になる。今でこそ、LGBTQ に対する性差別問題がクローズアップされておますが、陽性者を受入れた時点から、、そう30年前からLGBTQ について、さらには広い意味でも差別という事について考えるきっかけになったという事。何より、志を同じくするTHDN のメンバーに出会えた事が一番です。

Q. HIV 陽性者初診経緯は?

 東京都には「エイズ協力歯科医療機関紹介事業」という事業がある。2001年に東京都歯科医師会が東京都から委託事業として、THDNも事業に協力した。主にエイズ拠点病院、協力病院においてリストにより紹介されて来院するケース。さらに陽性者の患者から紹介されたケースもある。―ぷれいす東京などの団体からの紹介。

Q. HIV 陽性者の診療頻度は如何。

 リコール患者も含めて月5、6人、治療。

Q. HIV 陽性者の診療拒否または、特別視している歯科医療従業員へ伝えたいこと、意見など

 私は普通の町の歯医者で、一人の人間で、自分の生業として歯科医療を誠実に行う、患者さん一人一人を大切にしようと思っているだけです。今では、ライフワークの一つになっている。

 「診療拒否」は差別だ「差別」は「区別」から始まる。この患者は HIV 陽性者だと区別できるでしょうか?見た目は全く分からないし、問診でも患者から申告され無ければ我々歯科医には、分かりようもない、区別できないのだ。診療拒否の問題において、歯科医院で申告しなければ治療してもらえる、申告しなかった者勝ちですね。正直、私は申告されなくても歯科治療上問題になる事はないと思っている。でもそれで良いのだろうか?

 申告しなかった患者さんから、「先生に申し訳ないな」と思ったことを聴くことも多い。安心安全な歯科医療を築くためには、診療拒否を無くす我々の姿勢も問われていると思う。「陽性者を受入れますよ」と公言することで初めて陽性者は申告することができ、我々も患者さんの全身状態を把握することができるので、安心安全な歯科医療を提供できるようになると思っています。スタンダードプリコーションには聞こえますが、区別できれば陽性者に応じた対応も出来ますね。

 20数年前、日本 HIV 歯科医療研究会の講演に初参加した時、演者の英国の歯科開業医に「日本では歯科開業医におけるエイズ患者の診療拒否問題が社会問題化していますが、英国などではどうなのでしょうか?」と質問した。回答は、「私たちは歯科医師であり、歯科医師としてのプライドがあります。診療拒否は有り得ない」との事でした。

 このコロナ禍で、コロナ病棟での口腔ケアを求められた時に、「冗談じゃない、あんな危ない所には行きたくないし、衛生士も行かせない」と公言する病院歯科の医長がいました。実際コロナ病棟で感染の恐怖と闘いながら働く医師や看護師がいるのです。どうしたら感染を防げるか、そのためには何か方策はないか、考え続けなければ患者を救えないでしょう。歯科医師の地位向上が疑われるお粗末な話に同業者として情けなさを感じます。

 私もまだまだ発展途上です。いろいろな先生方とディスカッションしながら高め合っていきたいと思っています。ご意見をいただくために私のメールアドレス。

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