経済・政治・国際

2019年6月27日 (木)

政治のプライバシーとプライバシーの政治 ④

続き:

 

4 監視モデルの変容――視線から操作へ

 

 FB=CA事件は、監視モデルの変容を明らかにした。第1に、個人データを駆使したビジネスモデルは、消費者の行動の監視を通じて行われる「監視資本主義」へと変わりつつある。消費者は自らの個人データがどのように収集、利用、共有されているかを知らないまま、顧客像が造り出され、、オススメの広告が配信され、商品が提示される。それにより、対象者の一歩先を読む「おもてなし」が可能となった。データビジネスは、利用者に無料のサービスを提供する見返りに、収集した利用者の個人データをマネタイズすることで成り立っている。

 第2に、データ駆動型ビジネスモデルは、民主主義への現実の脅威にもなっている。従来は、選挙結果を国や地域のレベルで分析していたのに対し、マイクロターゲティングを用いた個人の選挙投票行動が分析の対象となった。個人の年齢、性別、学歴、職種のほか、位置情報、購入履歴、インターネット閲覧履歴、利用デバイス等、そして「いいね!」が分析され、SNS にはパーソナライズされた広告が配信されていた。デジタルなツールが我々の生活の隅々まで浸透する中、市民はデータベースの手のひらで踊らされ、データが市民を操作し、選挙行動を誘引し、民主主義がハッキングされようとしている。

 第3に、データ中毒者は、個人データを通じて人間の内面に探りを入れ、特定の個人を彫像することを可能とするデータとそれ自体を目的と位置づける。人は生まれながらにして平等ではあるものの、デジタルな空間ではデータによって人は差別され、偏見の対象となり、時に排除されることになるリスクが現実のものとなっている。データに対する人間の主体性が損なわれ、人間はデータに従属的な生き方を強いられるという監視の負の側面が顕在化しつつある。

2019年4月19日 (金)

Clinical ファイバーで補強された高強度硬質レジンブリッジの基礎と臨床 ②

続き:

                       

1. 高強度硬質レジンブリッジとは

 

 現在の保険診療で使用可能なFRC ブリッジである「高強度硬質レジンブリッジ」とは、「上下顎両側第2大臼歯によって左右の咬合支持が確保されている患者の第2小臼歯の欠損症例に対する、グラスファイバーフレームに高強度硬質レジンを築盛して製作された第1小臼歯、第1大臼歯支台の3ユニットブリッジ」と規定されている。

 算定条件は前述の欠損を有し、過度な咬合圧が加わらない症例とされており、また歯科用金属を原因とする金属アレルギーを有する患者においては、臼歯部1歯中間欠損に限り保険算定することができる。ただし、医科の保険医療機関または医科歯科併設の医療機関の医師との連携の上で、診療情報提供(診療情報提供の様式に準ずるもの)に基づく場合に限るとなっている。

 

◆ 高強度硬質レジンブリッジの保険点数

 形成料 (1歯につき)

   ◍ 失活歯                    166

   ◍ 生活歯                    306

 歯冠形成加算 (1歯につき)          470

 ブリッジ形成加算 (1歯につき)         20

 印象採得                      282

 咬合採得                       76

 リテーナー                     100

 高強度硬質レジンブリッジ           2500

 ブリッジ材料料                  1000

 装着料(装着材料料を含む)           150

 内面処理加算                     90

 維持管理料                      330

 <合計>

  ● 両支台歯が失活歯の場合     6440 点

  ● 両支台歯が生活歯の場合     6720 点

 

2. グラスファイバーフレームとは

 

 工業材料として繊維複合化技術は非常に幅が広く、重要な項目とされている。2018年の年間生産は長繊維(ロービングガラス)だけでも約523万トンを超え、すべてのガラス繊維製品を含めると3658万トンとなる大規模な市場であり、最新鋭飛行機や船舶のフレームなどから、ファストフード店などで使われているプラスチックトレーまで幅広く利用されている。

 補綴装置のフレームとして応用された歴史は意外に古く、1960年代には全部床義歯への補強材として使用された。

 現在、保険診療にはEガラスが多く使用されている。Eガラスは比重が小さいにもかかわらず、引張強度や弾性係数が高く、比強度に優れ、レジン系材料との接着性も優れている。FRC ブリッジのメインフレームに使用されている材料は、連続した繊維であるEガラスをマトリックスレジンで単一方向に収束させたもの(ファイバーC&B、G.C.社)となる。また、支台装置への補強材として用いられるファイバーコーピングには、先と同じ処理が施されたEガラスを90度の角度で編みこみ、シート状に加工したもの(ファイバーネット、G.C.社)が使用される。

 

3. FRC ブリッジの利点

 

 FRC ブリッジは鋳造作業が必要ないため製作工程や間接・直接材料の減少、製作時間の低減が見込まれ、総合的な対コスト効果が期待される。さらに、前装材料は長い臨床データに裏付けされる信頼性の高い材料となっている。臼歯部1歯欠損程度であれば約800MPa 以上の曲げ強さを示し、ブリッジ応用への安全性が示唆されている。また、これら前装材料の多くは、ナノフィラーも使用されているため、優れた機械的性質に加え、耐変色性、耐艶低下性、を持っており、審美的、衛生的に良好な状態を長期間保つことができる。

 

 

 

 

                       

 

 

2008年6月26日 (木)

地元選出国会議員との懇談ー民主党議員と

熊本選出の参議院議員の松野信夫さんは、国会の現況報告を示された。それには、4月は、ガソリン暫定税率の廃止と再可決での混乱があった。毎年5兆6千億円ものの税金が必要な道路だけでないところにも34年間にもわたり使われ続けてきたこと自体がおかしな事であった。「捻れ国会」の効果が少しづつではあるが、現れ始めているのである。年金など杜撰な運用、道路特定財源の無駄遣いも明らかである。この様な事は、道路だけでなく、港湾特会、治水特会にも不明瞭な点が現われ各省の中にも、野党へ情報を出してくる官僚も現れてきているのだ。後期高齢者医療については、松野さん独自の事前資料によると、熊本保険医協会が指摘したい問題とする様な点を的確に把握されていた。2006/6の与党強行で成立したこの後期高齢者医療は非常に分かりにくい制度設計であった。その後、官僚との学習会でも、制度の中身、保険料水準、障害者との関係など不透明な部分が多くあって理解できなかった。現在、熊本県保険医協会が問題としているところは非常によく理解されていて、我々と意見も一致していた。県下の皆さんのためにも、こんなおかしな後期高齢者医療制度は激変緩和措置などで繕うようなことでなく、まずは一旦廃止して、それから、今後、医療をどうするか真正面から議論しあうことから始めたいと発言された。

2008年6月25日 (水)

地元選出国会議員との懇談ー自民党議員と

熊本県保険医協会では、県選出国会議員が帰熊のおり、協会との懇談を申し入れを行っています。その中から、衆議院議員の木原稔さんと行いました。木原さんは、報告では、国会はガソリン税と年金医療問題で混乱が続いており、その中で党利党略が渦巻いている。いま、高齢者医療制度の問題が大きくなっている。しかし、国会では事前の説明不足と自己負担があるという程度でのことであった。帰熊して、老人会や自治会を回って、何が問題なのかはっきりわからない。-県下の生の声が出てこない。財政では、官僚の無駄遣いを深刻に考えている様子で、これからの課題は天下り先の問題や特会の問題を同志の議員と検討を進めている。又、後期高齢者保険制度にはその制度の開始の理念自体に問題が有るのだ。でも、すでに動き始めた制度を急に撤廃は出来ないのだが、問題のあることは確かなことだ。これを変えるべきところは変えていきたい。当協会では、熊本県自体は、全国の中でも高齢化の進んでおり、保険料も自己負担率も年々上昇している。その上、かかりつけ医制度が、実際は、重複診療の抑制を目標に置いており問題が深いのだ。又、書類作成や人員配置等の多くの足枷を付けた診療報酬改定の問題、療養病床の削減の影響などを情報を出したところ、大変興味を持って頂き、今後定期的な情報交換を行うことを木原さんから希望を出された。

2008年6月11日 (水)

主計官の権限

アメリカが財政赤字の削減を本格化させたのは、1974年予算法以降これは予算委員会を設置と同時に、議会予算局を作り議員自ら理論武装する様になった。スウェーデンも1993年以降、発生主義会計の導入や業務に関する年次報告書の作成といったエージェンシー改革、これに対する会計検査院の監督強化などを通じて、1997年に、経済予測や決算値が当初予測とずれた場合の報告の義務を強化した。他の国々では、予算総額に歯止めを設ける一方、予算に対する議会統制を強化し、それぞれの費目及び費目間において金額のやりとり可能にする仕組を設定した。わが国は、財務省主計局の主計官が各省庁の担当となり、査定権限を握っている。この仕組のもとでは、費目間の予算の移し替えは他の主計官の権限侵害となってしまう。そして財務省の決定するシーリングが予算を制約するなら、人々とのニーズはきわめて効率の悪い把握の仕方であろう。1990年代で、ある世論調査によると、その時、国民は福祉の拡充を求め、その財源として増税を許容していた。がしかし、こんな国民の要求とは異なり、公共事業が実施され続けたことは、人びとのニーズ把握に関する国の能力に限界があると言われても仕方がないことである。

2008年6月10日 (火)

わが国のシーリング

わが国は、1980年代に予算の概算要求基準を導入して以来、予算編成の出発点として要求の上限であるシーリングが設けてある。これを、形式的に決定するのが経済財政諮問会議であり、実際は、財務省が行っている。2008年度予算は、社会保障支出は、自然増分を除き、対前年度比で同額だ、義務的経費を除く、その他の経費はマイナス3%が予算要求の基本となっている。このような仕組は他の先進国には例がない。アメリカの財政再建での包括財政調整法は、裁量的経費に上限を設けて予算を抑えるけれど、義務的経費は、歳出増大を認めたうえで、必要な財源として増税あるいは、他の経費の削減を要求。全経費の2/3を占める義務的経費に関して、弾力的な歳出を可能にしている。スウェーデンも、通常の予算審議に先立ちフレーム予算を決定している。即ち、3ヶ年の歳出総額を出す。歳出の上限は議決を条件に、他の分野へと調整可能にすることが出来る。フレーム予算によって、総枠を歯止する一方、個別の費目に必要に応じて、歳出できる仕組になっている。イギリスのコントロールトータル、カナダのプログラム・レビューなど財政再建のための手法は様々にある。どれもみな、総額を抑制する一方で、年度間ないし事業間の予算再配分を認めている。わが国のシーリング予算は個別の費目に画一的な上限を設けた機械的で、硬直的、特異な仕組なのである。

2008年6月 8日 (日)

政府・財務省のアナウンスは

奇妙なことですが財務省主計局が、財政の危機的な事を国民向けにアナウンスし、一方で、投資家向けには国債発行担当の理財局は日本はすでに債務危機を乗り切ったと宣伝する。2008年に国債管理政策上の最大の困難はピークを迎え、借換えを円滑に行える点だった。1998年に大量に発行された、10年固定利付債が償還期限で、財務省は、さまざまな方法で、危機を乗り切った。財務省と日銀間には円滑な政策が行われた。つまり長期金利の安定を図るため、流動性供給入札、償還期日前に債券の一部を買い入れて、償還する買入消却などを実施した。さらに、超長期債についても、2007/11から40年債の発行が始まり、債務構成の長期に乗り出している。こうして、あらゆる政策をやったその結果、国債は安定し、借換に必要な資金も平準化された。財務省「国債整理基金の資金繰り状況等ー仮定した計算」によると、2004/1時点:2008年度130兆円、2017年度160兆円突破の借換額が2007/1の時点:再計算から2008年度90兆円、2017年度100兆円へと大幅な圧縮されているのだ。これが2010/1の時点での再々計算?むろんこんな途方もない大幅な借換が今後も要求されことは、財政上の大問題ではある。しかし、安定的、自然増収に支えられ、一般会計の公債依存も、2003年度42・9%から2008年度は30・5%まで低下した。その上に、財政投融資の国に預けられている郵便貯金、簡易保険の預託金返済が2007年で完済。そのことから、2008年度18・6兆円から8・4兆円となる。警戒はしなければならないが、財政危機は越えてしまっているであろう。このように、わが国の財政赤字は巨額だが管理された赤字のはずで、金額が多額だから財政や債務不履行の危機と結びつける議論には、国民を納得させる説得力はないのだ。確かに、今、日本は多額の赤字である。それを誇張ばかりして、人々の不安をあおることは正しくはないのだ。日本の格差社会問題に特に象徴されるように、画一的な赤字の削減、財政再建は明らかに生き詰っている。

2008年6月 6日 (金)

大きな財政赤字とは

日本は債務が多大であることは事実だとしても、即、破綻に結びつくのかは別の問題である。戦後債務不履行の経験した国は、イギリス、スウェーデン、ロシア、ブラジル、タイ等がある。これらの国々は財政赤字以外が要因となっていた、経済混乱に直面した時の財政はタイは黒字、ロシア以外の国の債務残高は対GDP比で二桁程度に過ぎぬ。この点からなら、日本経済はとっくに債務不履行になっていておかしくない。そうならない理由は、財政赤字ではなく、国際金融からの制約で引き起こされるからである。何らかの対外要因が引き金となって動揺が起こって為替レート維持が困難となったのである。その背景には、経常収支赤字の累積、外貨準備金の急減、国債利回りの急騰、固定相場制が政策の身動きとれなくなって来たことである。これらの要因からすると、日本は危機的な状況にはない。世界第二位にある外貨準備高、巨額の経常収支黒字から上記の国々とは国際収支制度が全然異なっている。ここ、10年に亘って、物価は安定しており、超低金利の故に為替相場の下落に対し、金融引き締めで対抗することが出来る。国債の利回りも安定している。外国債の発行もしていない。外資に依存していれば、円安が債務残高の水増しに結びつき、過大な財政負担を強いられることになる。日本は95%が国内からの投資で為替相場の変動からの影響はない。それで、財政赤字が莫大であることと、債務不履行に結びつくということの間には大きな隔たりが有る。

2008年6月 5日 (木)

国・地方・社会保障からなる政府の歳出

日本が大きな政府だというイメージは一般会計のみならず、財政投融資を動員しながら、大規模な公共投資が行われてきた事実に裏付けされたものであろう。1990年代半ばでは、公共投資の対GDP比は他の先進諸国の倍程の水準にあった。しかし、現実には、一般の印象とは異なり、反対に、公共投資の対DGP比は1990年代後半より急減する。2001年財投改革以降は、顕著となり、現在、他の先進諸国の水準にかなり近づいてきている。次に福祉面から、日本財政は大きな政府から程遠いのだ、日本は現金給付に比べて、現物給付の水準がきわめて低く、その結果、アメリカと同様、低水準の社会支出である。国・地方・社会保障からなる一般政府の歳出対DGP比はピーク時の2000年でも、OECD各国の平均に過ぎなかった。現在ー(歳出の対名目GDP比は)ーイギリス46% ドイツ45% アメリカ37% OECDの平均値が41%に対して日本は36%に落ち込んでいる。この現物給付が低いということは、社会保障の担い手としての公務員数の少なさと連結する。内閣府の『公務員数の国際比較に関する調査』を基として、日本の国および地方を合わせた公務員数が5383人である。これに対して、イギリス4686人(フルタイム換算)、フランス5681人、アメリカ21659人、ドイツ5743人などである。各国の人口の上から勘案すれば、日本は先進国の中でも明らかに小さな政府に属しており、過大な財政支出が赤字を生んでいるとは言えないのだ。

2008年2月20日 (水)

新自由主義を唱えた経済人・財務官僚の考えた医療は

今の日本は、国が安全や安心を担うべき教育や医療迄、市場原理を導入してはいけないのであるのだが、それを行うとしているのだ。医者は近隣の医者と競走し、金儲けをしたいなど考えないものだ。医者が争うべき対象は、患者さんが抱え込んでいる病気であって、そのことを如何にして早く解決していくかである。こんな分野に市場原理を持ち込むのだろうか。そう考える人々こそ、人間の命で金儲けを企み本来は排除されるべき人々である。この様な人達が政治の世界に入りこみ、規制改革会議という名前を借りて、規制緩和を訴えてから、この6年間、日本は、おかしくなった。日本は、先進国にふさわしい医療制度を再生させねばならないのである。

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